鍼灸での不妊治療
中国では古くから女性の病気に使われてきた治療法
中国では古くから不妊症、生理痛、生理不順、帯下、子宮下垂など女性の病気に鍼灸治療が行われていました。
中医学では、月経、妊娠、出産には特に、五臓の中の肝、腎、脾という臓器と任脈、督脈、衝脈という経絡が深く関わっていると考えます。
まず肝は「疎泄」機能があり、簡単に言えば体の中の「気」の動きがスムーズに
動くように調節します。調節がうまく出来なくなると、肝気鬱滞になり様々な心身症や自律神経失調症のような症状が見られます。
また肝は「蔵血」器官であり、貯えた血液を「胞宮(子宮)」、卵巣に滋養を与えます。
腎は成長、発育、生殖、老化に関係する「先天の本」と呼ばれる重要な器官です。
腎に関連する不妊症は、月経稀少、子宮発育不全、排卵障害、習慣性流産などが見られます。
脾は気、血を作る器官であり「後天の本」と呼ばれます。さらに血液が溢れ出さないようにする
「統血」機能もしています。したがって、脾の働きが異常になると、顔色が悪い、疲れやすい、めまい、
不眠、元気がないなどの気血不足の症状が見られます。また月経過多、不正性器出血といった脾不統血の症状が現れます。
任脈、督脈、衝脈はすべて子宮から出る経絡です。任脈は体の前面、腹部、胸部を通る正中線に沿って走る経絡で、
一身の「陰」を主っています。督脈は体の後、脊柱に沿って走っています。一身の「陽」を主っています。
任脈、督脈を調整することによって、全身の陰と陽のバランスを整えます。衝脈は子宮から出て、腹、胸部の両側に沿い
上に向って走る経絡で「十二経の海」とも呼ばれ、十二経絡から集められた血液を貯える「海」のような存在です。妊娠に必要な栄養を供給する役割をしています。
鍼灸の不妊治療で出来ることは、子宮内膜の状態を整える、卵子の質を上げる、ホルモンバランスを整えるといった「妊娠する力」を高めます。
具体的治療は、主に肝、腎、脾の働きを良くする、任脈、督脈、衝脈を調整するツボを使います。
代表的なツボとして、三陰交、血海、関元、気海、命門、腎兪、肝兪、脾兪などが挙げられます。
治療ペース
通常、週1回のペースでの治療が望ましいと思います。 不妊の原因や症状によっては、産婦人科の治療と併行して鍼灸治療を受けると、妊娠の確立が大幅に高まる事が最近の研究で分かっています。 病院で体外受精を受ける方は、採卵時と移植前後に間隔を詰めて治療をされると効果的です。 同じペースで治療することで、鍼灸の効果を実感出来ると思います。自然妊娠がご希望の方も通われています。 鍼灸治療により体質改善し、妊娠の確率を高めていきます。
その他
痰湿や瘀血、冷えなどの原因も絡みます。それぞれの原因に対して、オーダーメイド治療を行い妊娠しやすい体調に整えます。
食生活の改善や自宅での温灸療法も指導いたします。漢方薬を併用することも出来ます。
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鍼灸による不妊治療の記事
鍼治療で妊娠率アップ
讀賣新聞 夕刊 2002年(平成14年)4月30日(火曜日)
体外受精の前後に、女性の体を、リラックスさせるハリ治療をすると、妊娠率が大幅に向上するという研究結果を、
ドイツと中国の研究チームがまとめた。
米生殖医療学会誌に掲載された報告によると、同チームは、体外受精を受ける女性百六十人を二グループに分け、
一方には体外受精の際、受精卵を子宮に戻す前後にハリ治療を実施。残りのグループには、ハリ治療をせず通常の体外受精を行った。
その結果、ハリ治療グループの妊娠率は42.5%に上り、通常治療の26.3%を大幅に上回った。体外受精の妊娠率は、高くても三割程度とされ、
繰り返し治療を受けるカップルの精神的、金銭的な負担が問題になっている。
妊娠率が向上する詳しい理由は分からないが、同学会のサンドラ・カーソン次期会長は
「確実に検証されれば、妊娠率向上に役立つ手法になる可能性がある」と注目している。 (ワシントン 館林 牧子)
アメリカで治療院を開業している友人の論文(英文)
アメリカで、不妊治療専門の鍼灸と漢方の治療院を開業している友人夫妻のホームページです。たくさんの論文や妊娠された方の話が掲載されています。Dr. Yang and Dr. Liu Clinic ホームページ
不妊治療後の妊娠と産後のケア
待ち望んだ妊娠おめでとうございます。
長い不妊治療で疲れた体の回復や、妊娠期間中のトラブル予防と安産のため、はりきゅうケアでサポートします。
育ち産む力を養い、安産への体づくりは大切です。腎気を高め、冷えを改善し血行を良くすることで、
赤ちゃんは元気に育ち、つわりや不安、腰痛、便秘、むくみなどに、はりきゅうの効果が期待できます。
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